短歌八首      新木マコト

 ペンと夏雲       

われ越えて打球の弾む夏まなつ雲のおごりにリズムありたり

本塁へ球やるときし弩としぼるこころに何かなづまむ                弩=いしゆみ

ほの白く咲きそめて今朝さるすべり無瑕の傷み君は告げくる             無瑕=むきず

胸に飼ふ蛍ひとつに炎天の和泉橋をぞ渡りかねつる

ひとつぶの蛍火の燃え移るまで心の奥の書架を見つむる

夏服のひとと観てゐし白海豚ほのかに夢に極光となる

うづたかき古書のなだれてその窓は百代旅を知らぬまぶしさ

未完またきよらならずや七月を我らが夢のノオト灼けたり



縦書きPDF

広告

2 Responses to 短歌八首      新木マコト

  1. 堀本 吟 より:

    新木マコトさんの短歌、「ペンと夏雲」というタイトルが新鮮でした。短歌では、こういう事はこう書けるけるのか、というおおまかなところで納得するものがありました。
    蛍の光を下地に、勉学途中の青春の抒情や屈託を爽やかに書き込んでいる、巧みな本歌取り、と読んだのですが、違いますか?
     「蛍のひ光窓の雪」「書を読む月日重ねつつ」「いつしか年も杉の戸を」開けてぞ今朝は別れ行く」
    最後の4首は、この歌詞にみごとに対応しておりかつみごとに情景転換をはたしています。
    以下の三首のつくるドラマツルギーに酔い、上手いなあと舌を巻きました。

    ひとつぶの蛍火の燃え移るまで心の奥の書架を見つむる  新木マコト
      蛍火、恋をおもわせ、なお書架の世界をさまよう
    夏服のひとと観てゐし白海豚ほのかに夢に極光となる   新木マコト
      恋人登場、この歌の「白海豚」と「極光」。の白い光は 「窓の雪」の転生をはかっていて、あざやか。

    うづたかき古書のなだれてその窓は百代旅を知らぬまぶしさ 新木マコト
     ここには、エーと、題を忘れた、ごめんなさい、松尾芭蕉がでてきますね。
     「月日は百代の過客にして、行き交う人は皆旅人なり」

    時間の旅と、現在的な知への耽溺、これが交錯して、たいへんたのしい師の世界でした。短歌形式にのっているためか、気楽に深遠なことを思索できそうです。

    • 新木マコト より:

       遅くなりましたが、拙作に掲載の機会を与えてくださった湊圭史様、飯島章友様、コメントをくださった堀本吟様、有難うございました。日頃は仲間内の感想がほとんどですので、こうして他ジャンルの方々からお言葉をいただけてうれしいです。またその際に結社・経歴・年齢・性別・文語/口語に係わりなく、作品それ自体を批評していただけたことが何よりでした。
       作者自身も気付いていない作品の側面が、優れた読み手によって光を当てられ、重層的なテキストとなって伝播してゆくさまは、やはり短詩型ならではと思います。何か少しでも、拙作から自由に汲み取っていただけたら幸いに存じます。

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。